29-1
高野区長(中央右)や道彦氏(同左)らによってテープカット

 『池袋15´4月号(320日発行)の「大人の遠足」でご紹介した「豊島区立鈴木信太郎記念館」が328日、オープンしました。前日の27日午後2時から、オープニングセレモニーが開かれましたので、その模様をお伝えします。

29-2
時代が異なる3棟構成が美しい(手前は座敷棟、奥が書斎棟)


 同記念館は、フランス文学研究黎明期の大家、鈴木信太郎
(18951970)が親子
3代にわたって暮らした旧宅で、鈴木家から寄贈を受けた豊島区が改修・整備したものです。

 27日のセレモニーは、和室の68畳間を使って行われました。スペースの関係で、ごく限られた関係者30人ほどが出席。冒頭、高野之夫区長は、2012年に豊島区指定有形文化財として認定してから7年が過ぎたことについて触れ、「当初20153月の約束だったが、擁壁などの安全性確保のため再調査し、工事も難しかった」と釈明、出席した信太郎の次男である道彦氏(1929~)と夫人に頭を下げました。さらに「地元の方やフランス文学の関係者、さらに文化に造詣の深い方にとっても素晴らしい記念館ができたと思っている」と続けました。

29-3
長男の成文氏が作成した復元図をもとに作った戦前期の旧鈴木家の模型(150

 
 これを受け、道彦氏は「父のあと、この家は兄
(著名な建築学者の成文=19272010)が住んでいた。書斎、茶の間・ホール、座敷に分かれているが、このうち空襲でも残った書斎は、フランス文学書が並び大変壮観である。開館は感慨深いものがある」などとあいさつしました。

 見どころは、道彦氏も強調していた3棟構成の建築美だろう。1928(昭和3)年に建設した「書斎棟」(鉄筋コンクリート造)、1946(昭和21)年に新築した「茶の間・ホール棟」、さらにその2年後に本家のある富多村下吉妻(現在の春日部市)から明治20年代に建てられた母屋を移築した「座敷棟」。この時代背景も異なる3棟の組み合わせがおもしろい。

29-4
住宅街の路地裏に位置する記念館。堂々とした擁壁が目印だ


「鈴木信太郎記念館」

地:豊島区東池袋5-52-3 03-5950-1737

開館時間:9時~1630

日:毎週月曜日(祝日と重なる場合はその翌日も)、第3日曜日、祝日、年末年始、展示替えに伴う臨時休館日

料:無料

交通案内:地下鉄丸ノ内線「新大塚」駅から徒歩3、JR山手線「大塚」駅から徒歩8分、都電荒川線「大塚駅前」停留場から徒歩8

大塚五丁目交差点 春日通りに面した「タマルヤ」(青い看板)と「エイブル」(緑色の看板)の間を入り、右方向の細い路地(幅4㍍ほど)を道なりに直進、右側に小看板あり。あるいは春日通りに面した牛丼店「松屋」わきの路地を入り、突き当りを右に曲がると到着する。